あの日、あたしはいつもの道を通って家へと向かっていた。

そこへ風が吹く。

なんて優しい風だろう。

あたしを優しく包んでまるで抱きしめてくれるよう。

ふと、自分の異変に気付く。

いつの間にか涙が流れていた。

この風に抱きしめられ、自然と涙が出たのだ。

この風はきっとあたしを慰めてくれたんだ。

涙が溢れ出す。

涙が止まらない。

でもなんだかスッキリした気分。

この風のおかげであたしは笑顔を取り戻せた。

ありがとう。

そう思い、顔から笑顔をこぼしてる。

笑顔で言いたい。

ありがとう。って…。


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