ある日、杉元君が挨拶してくれた。
「バイバイ。」
たった一言だけどとっても嬉しかった。
それをみほちゃんに報告しようと教室へ行った。
ドアを開けようとしたら中から声が聞こえる。
みほちゃんの声だ。あたしの名前を言ってる。
「さっさと諦めれば良いのに。」
「あの子が居るからあたしが可愛く思えるのよ。」
「あの子じゃ釣り合うわけないよね。」
ケラケラと友達と楽しそうに笑うみほちゃん。
そうか、あたしはみほちゃんの引き立て役だったんだ…。
そう思うと、ズキンと胸が痛んだ。
あたしは必死で走って一人になれる場所へ行った。
そこで誰も来ない事を願って
一人で声を殺して泣いた。
「やっぱりあたしじゃ無理だよね…。」
そう声に出すと、声が震えていた。
また涙が溢れていた。
次の日、みほちゃんはいつも通りあたしを誘いに来た。
杉元君の所へ行くんだ。
「行こう。」
「うん。」
あたしは上手く笑えたかな。
みほちゃんと杉元君も会話は覚えてない。
―所詮引き立て役―
その言葉が頭をぐるぐるしていた。
もうみほちゃんを信じられないよ。
そんな日がずっと続いた。